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お知らせ

掲載日:2023年3月22日

「図解入りの解説で理解が進む」 シニアのやさしい運動講座

タオルを使って肩関節の運動を学ぶ受講生

県立大との連携協定に基づく講座

2月10日、県民活動総合センター(けんかつ)第2会議室で「理学療法士から学ぶシニアのやさしい運動講座」が開催されました。当日は、大雪にもかかわらず県内各地から21人が参加し、健康維持に必要な運動理論や実技について、講師の話に熱心に耳を傾けていました。

この講座は、令和2年2月6日に締結された「埼玉県立大学と公益財団法人いきいき埼玉との相互連携に関する協定書」に基づく取り組みの一環として企画されたものです。同協定書では、同大学が持つ専門的知識や技術を生かし、保健・医療・福祉の分野で県民の健康増進などを図り、豊かな地域社会をつくることをうたっています。

椅子やタオルを使った実技指導も

講師は金村尚彦(かねむらなおひこ)さん(プロフィル参照)。講座は、講義編「体力維持に役立つ運動とその効果」と実技編「身近な道具を用いた効果的な運動の実践」の二部構成で進められました。

講義編では、新聞やテレビなどで見聞きする専門用語の説明から始まりました。

具体的には、

「フレイル」/虚弱の意。健常な状態と要介護状態の中間の状態で、要支援・要介護の危険が高い状態を指す。身体的・社会的・心理(認知)的フレイルに分類される。

「ロコモティブシンドローム」/ロコモ=運動器症候群。加齢や生活習慣に伴う筋力低下、関節や脊椎の病気、骨粗しょう症などの運動器の障害により移動能力が低下した状態を指す。

「サルコペニア」/進行性・全身性の筋肉量・筋力の低下を特長とする症候群を指す。

――について、図解やデータを交えた説明がありました。

続いて、姿勢の変化やバランス、身体機能テスト(30秒椅子立ち上がりテスト、片脚立位の評価、歩行速度)の説明がありました。

実技編では、運動の効果(抗炎症作用、高血圧、脳血管障害などの発症を遅延させる効果)、病気の予防と1日平均歩数の関係、筋肉の役割について説明がありました。最後に、椅子やタオルを使ったストレッチ(筋力トレーニング、関節運動、立ち上がり動作)の実技指導が行われ、受講生も実際に体を動かして学びました。

「1日8,000歩を目標にして」

埼玉県立大学理学療法学科
教授 金村尚彦さん

【プロフィル】
広島大学大学院医学系研究科博士後期課程修了(博士・保健学)。埼玉県立大学大学院研究科長。日本基礎理学療法学会評議員。日本運動器理学療法学会前監事。運動の身体に与える影響について講義や研究を行っている。主な著書は『リハビリテーションのための姿勢と動作』『運動器障害理学療法学』。

当日の講師を務めた金村さんに伺いました。

高齢者の健康維持では――

「最近の研究では、運動により筋肉からホルモン(タンパク質)が放出されることが判明しています。体を動かすことで、うつ病や認知症の予防にもつながります。1日の総歩行数は、8000歩でそのうち20分は速歩き(会話ができる程度の速さ )で歩くことを目標にすると、高血圧や糖尿病などの病気を予防することができるといわれています。また筋肉トレーニングでは、初心者の方は、最初からダンベルやバーベルなどの”重り”を使う必要はなく “自重(自分の体重)”をうまく活用してみてください。中でも全身運動にもなるスクワットが効果的ですね」

いきいき埼玉との連携講座のテーマでは――

「本日の講義では、運動の効果や実践についてお話ししましたが、連携講座のテーマとしては『高齢者を対象としたスポーツ活動の紹介』や、『膝が痛い人のための運動など体の部位ごとに対する予防運動講座』などが良いのではないでしょうか。介護施設で働く人の中には、腰痛に悩まされている人が多いですね。介助者の食事や入浴、トイレ介助などを行う際の腰痛を予防するような姿勢や介護方法などを取り上げることがよいかと思います。さらに高齢者のケアの方法、介護保健や社会福祉サービスの利用方法など、テーマは多岐にわたると思います」

「同じ県の強みが生きた良い企画ですね」

清宮(きよみや)幸雄(ゆきお)さん
(上尾市在住)

当日受講した清宮幸雄さんに伺いました。

「けんかつのホームページと地元の広報紙でこの講座を知りました。現在、スキー指導員をしています。心の中では『負けるわけにはいかない』と思いつつも、年齢とともにできることができなくなり、体力の衰えやバランス感覚に不安を覚え受講しました。年上の友人からは『65歳からしっかりしないと70歳になって差が出るぞ』と言われました。普段は家庭菜園や30分程度の散歩などをしています。今回の講座で筋力トレーニングの重要性が分かりました。この施設で県立大学教授による講義が受けられるというのは、同じ県の強みが生きている良い企画だと感じました。受講料も安いですね。『サルコペニア』などの専門用語も図解入りで解説してくださり理解が進みました。今後は介護方法や防災関連の講座を期待しています」

問合せ

生涯学習担当 電話:048-728-7113